アネスト岩田 カスタムマイクロン 修理 その3
では、さっそく吹きつけテストをしてみます。
まずこれは、修理前の現状確認の試し吹きをしたときの様子です。
(※念のため先に書いておきますが、ワタクシの、ガンの扱いの上手下手は、また別の話ですよ)
手持ちの2丁と比べています。
塗料は水性塗料で、カップからカップへ移して順次吹いています。
さて、説明の前に、少し話題から離れてしまいますが、ここでまず理解していただきたいのは、このときのガンの運行の仕方です。
縦の赤線②のあたりから噴霧が始まっていますが、ここからガンを運行するのではありません。
まず①のところにガンを持っていき、ここでボタンを押して(押すだけで、手前に引きません)エアーだけを出します。
そのまま右に向かって一定のスピードで運行し始めます。白矢印の区間ですね。ここは、エアーだけが出ている状態です。
そして、赤線のあたりから噴霧が始まるようにボタンを引いて、塗料を出します。ガンの動きは止めません。
この赤線は後から書いたもので、実際に吹いたときは、自分の感覚で「このあたりから」という場所でボタンを引いています。
細吹きを試したいのですから、「このあたりから塗料が出始めるだろう」という最小限のところまで、スッとボタンを引きます。
そのままずっと右まで運行し(ガンを止めない)、噴霧をやめたいところで、まずはボタンを前に戻します。その際に大切なことは、最後までボタンは押したままをキープして、エアーとガンの動きは止めないということです。言ってみれば、フォロースルーです。
そして、ボタンを前に戻し切ってからボタンを離してエアーを止め、ガンを止めます。これが、エアーブラシの正しい使い方です。つまり、「ボタンは押してから引き、前に戻してから離す」が原則です。
おそらくですが、最初の「押してから引き」はできていても、吹き終わりはパッとボタンを離してしまっている方もいらっしゃるのではないかと思います。自分も最初はそうでした。
これをやってしまうと、ニードルが戻る前にエアーが止まってしまうので、ノズルに塗料が少し残ってしまい、次にボタンを押した瞬間にそれが飛び散ってしまいます。
この経験をされたことのある方は、この吹き終わりの一連の操作ができていないかもしれません(ただし、エアーブラシ側に問題がある場合もあります)。
また、ボタンはいっぱいまで押し下げます。ボタンの押し加減でエアー流量調整はしません。それは、レギュレータやエアー流量調整のアタッチメント等で行うべきことで、ボタンは、引き加減にのみ集中します。そのために、流量調整ダイヤルが付いたガンまであるわけです。
余談ですが、トリガーアクションのガンは、トリガーを引く・戻すという操作だけで、この一連の動作を自動でやってくれる構造です。
この画像のようなことを、線の太さを変えながら繰り返し行うと、とてもよい練習になりますので、オススメですよ。
ただし、ニードルストッパー(プリセット)機能が付いたガンでは、それを使ってはダメです。練習になりませんので、ストッパーは全開で行ってください。
閑話休題。
この写真は、状態を依頼主様に説明するためにスキャンしたものを縮小しています。縮小したら見にくくなったため、コントラストを調整しているので、画像が粗く見えます。ご容赦ください。
ではこのテスト結果の説明をしていきますね。
比較のため、HP-BR(下位機種・0.3mm)とHP-BP(標準機種・0.2mm)で同じようにやっています。
HP-BRとBPは、左右にばらつきはあります(これは、ワタクシの技量のせいでもあると思っていただいて結構です)が、だいたい自分の思ったあたりから噴霧が始まっています。また、線の最初から、ほぼ一定の太さで引けていますね。
また、口径の小さいBPのほうが、言うまでもないのですが、より細い線になっています。
この2丁は使い慣れているので、どれぐらいボタンを引いたところで噴霧が始まるか、つまり、一番細く吹くにはどれぐらい引けばいいかを、指がだいたい覚えています。ですので、スッとその位置までボタンを引いているわけです。
逆に言うと、ボタンの操作に対して、それだけエアーブラシの反応がよいということでもあります。これが分かりにくいガンですと、塗料の出始めを探りながらボタンを引くので、吹き始めがずっと右のほうに行ってしまいます。また、出始めの位置がもっとばらつきます。
アネスト岩田のガンをやたらとオススメするのは、まずこの反応のよさが素晴らしく、断然に扱いやすいからです。
さて、肝心のマイクロン・CM-CPはどうでしょう?
今説明したとおり、噴霧位置が一定せず、ずっと右のほうからやっと始まっています。
つまり、細く吹きたいわけですから塗料が出始めた瞬間をキープして線を描きたいわけですが、自分の感覚としてはボタンを引いているにもかかわらず塗料が出ず、そこを探ってボタンを引いているうちにガンが右まで流れて、意図しないところから噴霧が始まる、という結果になっているわけです。
また、線の太さも、0.3mmのBRと大して変りませんし、霧の粒子も粗い感じで、下位機種にすら劣っています。
明らかにおかしいですね。こんなはずはありません。
そして、下のほうの赤丸で囲ったところは、左のほうに線がありませんよね。つまり、細く吹こうとして結局塗料が出ず、ボタンを前に戻したら、ノズルに溜まった塗料が押し出されて点状に出てしまった、というわけです。
この結果と部品の状態からして、まずはニードルとノズルの交換という対処に至りました。
ずいぶんと説明が長くなってしまいましたので、部品交換後の結果は次回にしますね。尻切れトンボですいません。
(つづく)
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