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2015年6月 8日 (月)

今年の展示会について

開店2年目から、毎年夏に模型展示会を行ってきましたが、この夏は行わないことにしました。楽しみにしてくださっていた方や、これを締め切り代りにして制作に励んでいた方には申し訳ありません。

最近は、SNS等が盛んになったこともあって、サークルやクラブに入っていなくても仲間を募って、いわゆるオフ会や展示会を開くことが容易になりました。特にこの1年ぐらいで、それがあちこちで一気に広まっている気がします。そういう環境が整ってきたことは素晴らしいことですね。
でも、モデラーさんのすべてがそのような環境にあるとは限らないので、そういう方々の為にも、展示の機会を設けていきたいとは考えています。

去年も展示会は行ったのですが、いろいろ考えさせられることがあって、ブログにその様子の紹介はしませんでした。
その中で、見学に来られた一人の年配のオジサンが、「これは、何をやってるのか? 何のためにやってるのか、目的が分からん」とまくしたてる「事件」がありました。これには、相手をした参加者さんも手を焼いてしまって、皆が顔を見合わせて苦笑い。1年前の話なので、さすがに一言一句まで記憶はしてませんが、私が「いやいや、ああでこうで」といろいろ説明しても、なかなか納得してもらえませんでした。
最終的には、私がやっている模型店のお客さんが作品の展示発表をする機会としてやってるですよと言って、どうやら理解してもらえましたが、その場は、「ワケの分からんクレーマーみたいで、困ったもんやなぁ」という空気でした。

でも、今になってふと考えてみると、そのオジサンの言うことも、けっして的外れなクレームではなかったのではないのかと思えてきたんです。

私は一応、参加者同士が模型を持ち寄って見せ合うだけではなく、模型作りをしない人にも作品を見てもらいたいと考えて展示会を企画してきました。なので、去年の会場には、それを意識した場所を選びました。そのために、件のオジサンがやってくることにもなったわけです。
でも、模型を作らない人にとって、並べてある模型が「作品である」ということが、必ずしも分かるとは限らないわけです。だって、完成品として売っているミニカーだって塗装済みフィギュアだって「模型」です。だから、仮にそういうものを持ち寄ってズラッと並べたとしても「模型展示会」ですよね。実際、模型展示会では、作品の前に「何の模型なのか」を説明したカードが添えられていますが、「どんなふうに作った作品なのか」が説明されていることは少ない気がします。
あのオジサンは、模型愛好家でもなければ予備知識もないからこそ、「何をやってるのか分からん」と素直に思ったのではなかろうか? そういう気がしてきたんです。

なので、今度展示会をやるときは、「作品展であること」が分かってもらえるようにしたいと考えています。参加者だけが楽しめればいいという雰囲気ではなく、「見に来てくれた人にも満足してもらうこと」を考えていきたいと思うんですよ。
そのためには、参加者さんにも事前に協力していただくことが増えてしまいます。当日作品を持ち寄って並べられさえすればそれでいい、というわけには、いかなくなります。
「プラモなんて、ただの趣味。そんなストイックなのはイヤだし、面倒だ」と思う方もいらっしゃるかもしれませんし、私自身も別にストイックを気取ってるわけではないんです。ただ、丹精込めて作った作品を「人に見てもらう」という気持ちは、やはりないといけないのではと思います。作品のレベルが高くないといけないとか、そんな意味ではもちろんありませんよ、念のため。

あの時は邪険に扱ってしまいましたが、あのオジサンのおかげでそんなことを考えさせられる、今日この頃なのです。

(誤解を避けるため、最後にもうひとつ書き添えておきますが、これはあくまでも自分が模型展示会を企画するときはこうしたいというだけの話であって、展示会とはこうあるべきだというように、自分の価値観を他人様に押し付けようというつもりはまったくありません。)

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コメント

模型の楽しみ方は人それぞれのはずなんですが、世の中難しいですね・・。先月、ホビーショーへ行って来たのですがあるモデラーの方がヤクルトの容器等で見事な宇宙船を作っていました。本業は漫画家と仰っていましたが本人が楽しんで作っているのがよくわかりました。クリエイターの豊かな発想の片鱗を感じました。

投稿: ふぁっとまん | 2015年6月14日 (日) 16時42分

ふぁっとまんさん、こんにちは。
ヤクルト容器やプラモのパーツ等を組み合わせてオリジナル作品を作る「ミキシングビルド」という手法ですね。私も、その方には親しくしていただいてます。
普通にプラモデルキットも作る方なんですが、このミキシングビルドの講座(というのかな?)も開催されてる、熱心な方ですよ。

投稿: Bluebell | 2015年6月14日 (日) 17時05分

先ず初めに申し上げておきます。以下大変僭越な物言いで申し訳ありません。今後のブルーベルさんの活動に対して何らかの”気付き”にでもなれば幸いです。

当初より様々な記事・ご意見を拝見してきました。
店主様がお店を始めた動機など・・・

この記事を読み、私思ったのですが、生き方がブレてきて
いませんでしょうか。

展示会を批判する人物と出くわした。世の中色々な人間が
います。またどのような考えを持とうが、危害を加えない
限り、日本では発言の自由が保障されていますから。

店主様、本当に模型がすきでお店を開かれたのではないでしょうか?利害関係、年齢、性別、職業、その他”付帯要素”を
超え、ただ模型がすきな人達の憩いの場を提供していきたい
との思いで展示会を開催されたのだと、私は思っています。

模型の楽しさを解しない人間の言うことなど、どうでも
いいではないですか。

模型好き純粋に子供心にかえってワイワイ盛り上がる展示会。
それでいいのでは。
そういう仲間を募り、模型で楽しむ場を提供するというお気持ちで開店され、展示会を始めたのでは。

私はその純粋なお気持ちを尊敬するし、支持します。

・・・また展示会開催しましょうよ!

投稿: | 2015年6月15日 (月) 21時46分

こんにちは。以前からブログを見てくださっていたようで、ありがとうございます。

いろんな面で考え方が少し変わってきていますね。正直申しまして、自分でもワケ分からなくなってきているのもたしかです(笑)。

私が店を始めたころは、展示会というのは模型サークルさん主催のもの以外はあまり見かけたことがなく(もちろん、私が知らなかっただけかもしれませんが)、自分の作った模型をお互いに見せあいっこをする機会を提供したいという思いが強かったですね。
でも、今はSNSが盛んになったり、仲間を募ることが容易になったおかげで、誰でも気軽にそれができるようになりました。

なので、そういう場を提供するのもいいのですが、自分はもっと外を向いた場を作っていきたいなぁと思うようになったんです。つまり、役割が変わってきたかなぁという気がしているんですよ。

最近は、プラモを作る人も、昔に比べれば減ってきてますよね。私も店をやってる以上、今のお客様はもちろん大切ですが、今はプラモを作ってない人に「こっち」に来てもらうように考えていくことも必要です。そのために何をどうすればいいのか、模索しているところです。私は不器用ですし、経営者としての才覚があるのかも、はなはだ疑問なので、フラフラ迷走中です。だから、「ブレている」とおっしゃるのも、もっともかと思います。

このオジサンに言われたことも、そのときは正直、「ナニ言ってんだ?」と思いましたが、ふと、「外側から見ると何をやってるか分からない展示会になってるのかな?」と、ふと思ったわけです。

内側だけでなく外側の人(変な表現ですいません)にも楽しんでもらえる作品展にできれば、みんなが幸せかな、と。

だから、「たかが模型店主がおこがましい」と言われるかもしれないのですが、けっして大げさなことがしたいわけではないんですよ。

投稿: Bluebell | 2015年6月15日 (月) 22時44分

そのオジサンが言おうとしたのはマンマだと思います。
少し昔の展示会を想像していた方であれば
中々考えにくい状況だったのだと思います。

オジサンは「交流会に近い展示会」と言う形を経験した事の無い方だったのでは? とも思えます。

模型を愛していたからこそ出た言葉だと思います。

言い方はもっと良い言葉があったのかも知れませんが・・・

投稿: | 2015年7月14日 (火) 15時46分

この方の本意は、もちろん分かりません…。この日は、となりで書道だったかなにかの展示会もやっていて、それを見に来た方なのかもしれませんし、まったくの通りすがりの方だったのかもしれません。
ただ、今になって個人的にいろいろと考えさせられるところもありました、という話です。

投稿: Bluebell | 2015年7月14日 (火) 21時22分

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