1ミリの悲哀
実は、私は30歳過ぎから薄毛がコンプレックスでして、7~8年前から思い切ってアタマを丸刈りにしています。バリカンを買ってきまして、家で嫁さんに刈ってもらっているわけです。おかげで散髪代が浮いて家計の助けになっています(負け惜しみですよ)。
ただ、長髪の方には分からないかも知れませんが、髪は短いほど少し伸びただけでも伸びたと感じます。で、昨日もそろそろだと思って刈ってもらうことに。
ところが、私の髪は少ないうえに細くて柔らかいので、バリカンについているカット長調節のクシになぎ倒されて、うまく刃にかかってくれないのです。そこで、バーバーしゃみーさんいわく「一番短いヤツでいってみる?」ということで、1ミリ刈りというかつてない短さで刈ることになってしまいました。
すでにプライドをかなぐり捨てているワタシは、「いいよ、別に」と二つ返事です。傍らで娘のぽっぽちゃんが落書きに夢中になっているその後ろで、バリカンがうなり始めました。
しばらくして、丸刈りが終了しました。そのとき、後ろにいたぽっぽちゃんがこちらを振り向くと、とても困った顔をして「おとーさん、ハゲちゃった…」とポツリとつぶやきました。その言い方たるや、まるで遠洋漁業に旅立つ父に別れを告げる子どものようでした。そして、無言で鏡を取りに行き、私の前に差し出したのです。
私はそんなに以前と違うとは思ってませんでしたが、見てみるとたしかに「うわ、みじか!」と思いました。そしてぽっぽちゃんは、「おとーさんがオーマイガー(Oh,my god...)や…」とまた小さくつぶやいて去って行きました。
私は、なにやら自分の髪がとても遠くへ行ってしまった気がして、フクザツな思いでした。(おしまい)



















































































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