タミヤ ベーシックエアブラシ その4
試し吹きの結果、やはり価格と性能は比例するという、きわめて当然の結果が出たわけですが、自分としてはちょっと納得がいかんというか、納得はいくが不満というか・・・何だか煮え切らない感じです。
これで終わるのではつまらんので、ちょっと悪あがきをして、ハンドピースにファインチューニングを施してみることにしました。
ただし、以下のチューニングはあくまで素人考えによるものです。もしも真似される場合は(そんなことする人はいないと思いますが)くれぐれも個人の責任でお願いします。
まず、この2機種の違いは何なのでしょうか。ちょっと観察です。
イワタのノズル部です。
タミヤに比べて、以下の点で違いが見られました。
①ノズル先端の肉厚が薄い。
②ノズルキャップの穴とノズル外周との隙間(エアーの吹き出す部分)が狭い。
①については目視でも確認できましたが、ノギスでノズル先端の外径を測ると、タミヤが約0.8ミリに対しイワタは約0.7ミリでした。
また②については、ノズルキャップの穴径を測ってみました。もちろん、テーパーゲージなんて持ってませんので、ドリル刃を通しておおよその径を測ったところ、タミヤのは1ミリのドリルが通ったのに対し、イワタは0.9ミリが通りません。
エアブラシはベンチュリ効果を利用した道具ですので、この穴の大きさも性能に影響するはずです。
まずはノズル周囲に#2000のペーパーをかけ、慎重に削って薄くしました。
これで、ノズルとニードルの段差が少し小さくなりました。
続いて、金属用コンパウンドで磨いて鏡面仕上げにします。エンジンのポート研磨と同様に、空気抵抗を少なくし、エアーの流速を上げる狙いです。
同様に、ノズルキャップ内側とニードルのテーパー部も研磨してピカピカにします。
以上の工程で、エアーの通り道の抵抗がわずかでも減り、スムーズに流れるようになったはずです。
ただ、ノズル外径が細くなったことによりエアーの吹き出す隙間はさらに広がったわけです。そのため、同じ空気圧や風量でも流速は遅くなり、ノズル部に発生する負圧が小さくなって色材を吸い出す力が弱まります。実際にここまでの状態で吹いてみましたが、空気圧を上げて風量を多くしないとニードルを開けても色材が出てきません。
ニードル操作に対するレスポンスは、風量ではなく流速で決まるのです。
そこで、隙間を狭くするためにノズルキャップの穴を小さくする必要がありますので、短く切った真ちゅうパイプを穴に入れて瞬着で固定しました。パイプはウェーブの「CパイプNo.2」が外径1.1ミリでジャストフィットでした。
こうして、ファインチューニング完了。
これでもイワタに比べればまだエアー吹き出し口はわずかに広いです。
ハンドピースの価格の差は、まずは加工精度の差といえるのでしょう。穴が小さいほど正確に芯を出していくために精度が必要なのは素人でも分かりますから。
さて、これで吹いてみましたが、吹き始めのレスポンスは若干よくなった気がします。ただ、ミストの飛び散りはほとんど改善しませんでした。
ということで、コイツの使い道はやはり全体吹きかなあという結論。コレ一本ですべての塗装を、というのはやっぱりちょっと無理がありますかね。
価格的にはSサイズ口金のエアーホースにつなぐのなら最低3,948円(定価計算)ですが、限定した用途に使うハンドピースとしてなら安いと言えるかも・・・。
あ~何だかグダグダな終わり方! このレビューはいったい何やったんや!! 少しでも楽しみにしてくださった方、どうもすみませんでした。
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コメント
番長さん今晩は。久々にお邪魔したら、「エアーブラシ孝」。面白そうですねー。私、2号店の開店のため(夏、地獄のように忙しい店らしいです)暫くお暇させて頂きます。夏が終わったら纏めて読ませていただきます。楽しみに待ってますので、色んなことにチャレンジしてください。でわでわ。
投稿: コンビニオヤヂ | 2010年6月22日 (火) 22時30分
コンビニオヤヂさん、こんばんは。
事業拡大ですね!! 私のチャレンジとは比べものになりませんが、ぜひ頑張ってください。新店舗の成功を心よりお祈り申し上げます。
ただ、お体だけはご自愛くださいませ。
投稿: Bluebell | 2010年6月22日 (火) 23時05分
Bluebellさんこんばんは
いつもながらの「観察眼」には驚いてしまいます。私はクレオスのハンドピースを一本のみ使いまわしていますので「オッ!これは面白そうなレポート!」と楽しみにしていましたよ!結果はさる事ながら貴重な情報をありがとうございます!と、言う事は大手プラモ量販店タ〇タ〇等に置いてある「見た事も聞いた事もないメーカーの4,000円位のハンドピース」も、要注意とした方がよさそうですね?う~ん、価格の差はやはり出るのですねぇ~。そう言えば「アネスト岩田」の廉価版ハンドピースはどうなったんだろ?アネストと言えばのとこやさんに聞いてみよっと!
投稿: ホワイトタイガー | 2010年6月23日 (水) 00時48分
ホワイトタイガーさん、おはようございます。
楽しみにしてくださってたそうですが、何か企画倒れ的終わり方になってしまって、期待を裏切った気がします。どうもすみません・・・。
ところで、件のいわゆる「ノーブランド品」ですが、実は以前に使っていたことがあります。これがなかなか侮れなくてですね。だからこそこのタミヤの廉価版には淡い期待を抱いたのですが。
イワタの廉価版のことも絡めて、エアブラシのハナシはもうちょびっと続けます。
投稿: Bluebell | 2010年6月23日 (水) 07時40分
詳しい考察で勉強になりました。
まだ、エアブラシを使ったことがありませんので、今度購入するときに参考にさせてもらいますね。
投稿: かず | 2010年6月23日 (水) 09時19分
かずさん、こんにちは。
フィギュアのような細かい塗装には、やはり価格も精度も高いものを選ばれるのが賢明でしょう。普通の使い方ならほぼ一生モノですからね。
投稿: Bluebell | 2010年6月23日 (水) 16時36分