タミヤ キングタイガー(ポルシェ砲塔) その2 <ツィメリットコーティング>
キャタピラが十分に乾燥しましたので、一度取り外します。
そして、おそらくこの戦車の模型制作において最大の山場である、「ツィメリットコーティング」に進みます。
この頃のドイツ軍の戦車には、磁気吸着地雷避けのために、セメントのようなものを塗りつけて様々な模様をつけたコーティングが施されていました。そういえば、昔は「セメントコーティング」って言ってたなあ・・・。
今制作中のポルシェ砲塔付きのキングタイガーには、すべての車輌にこのコーティングが施されていましたので、模型制作にあたってこれの再現を避けて通ることはできません。
しかし、この作業がなかなかやっかいで、パテを盛ったり、プラペーパーを貼り接着剤を塗って柔らかくしたりしてからドライバーで模様を刻むなど、涙ぐましいまでの努力と工夫が試みられてきました。
私が出戻った頃は、ポリエステルパテを塗り、ノコギリ刃のような専用の工具でそれをかき取って模様を刻む方法が主流だったようです。
ところが、数年前に画期的技法がAM誌で紹介されました。エポキシパテと型押しローラーを使う方法です。
これを知るまでは、私もコーティングがうまくいかず、コーティング必須車輌は作ることが出来ませんでした。
でも、この方法のおかげで、少々面倒ではありますが簡単にコーティングができるようになり、作りたくても作れなかった車輌が作れるようになりました。
前置きが長くなりました。私のやり方は雑誌で紹介されている方法とは少し違いますが、そのエポパテ・ローラー技法をご紹介します。
まずパテ選びについてです。
私が使っているのはミリプットです。理由は、適度に柔らかく延びが良いこと。ただ、中身がソーセージ状のため少量を切り出すのが難しく、いつも余ってしまいます。
タミヤには「速乾タイプ」と「高密度タイプ」があります。どちらもミリプットより硬く、弾力があるため、私のやり方には合いませんでした。こちらは中身が板ガム状ですので、必要な量を切り出すのが容易で、無駄なく使えます。
AM誌で推奨していたセメダインのパテも試しましたが、やはり少し硬かったように思います。
また、ミリプットは水に溶けますが、タミヤやセメダインは溶けません。
私の使っている道具です。
型押しローラーは、モデルカステン製と自家製のものを使い分けます。
右上の金属棒は、延べ棒として使います。
これは、ベビーパウダーです。
あと、キットの上箱を用意して台にします。
これで準備は整いました。
それでは作業に入りましょう。
まずはパテをよく練っておきます。続いて、箱の上にベビーパウダーを撒いて打ち粉をします。
そして、ここへ練ったパテを適量置き、延べ棒でぐいぐいと延ばしていきます。このとき、パテの上にも打ち粉をして、パテが延べ棒にくっつかないようにします。
かなり延びますので、とにかく薄~く延ばします。
時々ライトにかざして、全体に光が透けて見えるくらいが頃合です。また、こうすることで厚みのムラが分かります。
厚すぎても薄すぎても、後の型押しがやりにくくなります。
適度に延びたら、コーティングしたい面に水をつけて貼り付けます。ミリプットは水に溶けますので、パテの表側に水をつけないように注意します。
また、硬化してダマになっている部分があったらピンセット等で取り除きます。
広い面では何回かに分けて貼り足します。また、慣れればこのように大きく延ばして一回で貼ることも出来ます。
こうして面全体をパテで覆ったら、余分なパテをカットして、型押しローラーで模様をつけていきます。
パテの表面に打ち粉をしながら作業しますが、どうしてもローラーにパテがついてしまうので、掃除はマメに行いましょう。
ただし、タミヤのパテを使う場合は、打ち粉より水をつけながらのほうが良いでしょう。
硬化時間には十分に余裕がありますので、あせらなくても大丈夫です。
パターンはあまり整然とさせず、これくらい雑なほうが実車らしさが出ます。
砲塔はこんな感じ。ちょっとパテが薄すぎました。
キューポラは、ドラゴンの余り部品を移植するため切り取りました。
このやり方の良いところは、パテを薄く均一に伸ばせることです。
雑誌の記事では、パテを模型にのせてから指や爪楊枝で延ばしていますので、伸びをよくするためにメンソレータムを混ぜたりするようですが、そんなことをする必要もありません。
また、こういう起伏のある場所でも、上からかぶせてなじませるだけですので、まったく苦になりません。
凹部は、コシの強い筆に粉をつけて押さえていくと、カンタンに形に沿っていきます。
こうして、コーティング作業完了です。
休憩をはさみつつ、3時間ほどかかりました。
このまま一晩乾燥させます。
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コメント
はじめまして、ふぁっとまんと申します。
竹内さんのHPから来ました。
コーティングの記事、たいへん興味深く拝見しました。
私はこれが苦手で何度か失敗してますが、貴殿の方法は画期的だと思います。
失礼ながら参考にさせて頂きます。
私もブログをやっています、最近は更新も少なくお恥ずかしいのですが、お時間があればご覧下さい。
投稿: ふぁっとまん | 2009年5月 2日 (土) 12時35分
はじめまして、宮崎と申します。
画期的なコーティングの記事、たいへん参考になりました。
「型押しローラー法」は
以前試したのですが、うまくいかなかったので見限っていました。
ひとつはエポキシパテを、薄く均一に伸ばすことが難しかったためであり、
もうひとつは、パターンが大きめで、形状が本物と違うように出来上がったためです。
薄く伸ばす方法に、このやり方があったのですね。
ベビーパウダーを利用するなんて脱帽です。
薄く伸ばしたパテは、カッターで細切りして
溶接痕の再現に使ったことはありました。
今後も、よろしくお願いします。
投稿: 宮崎 | 2009年5月 2日 (土) 12時51分
ふぁっとまんさん、初めまして。
貴ブログ拝見いたしました。素晴らしい作品の数々に圧倒されてしまいました。私とはレベルが違いすぎます。
拙い模型をお見せしお恥ずかしい限りですが、こんな方にまで参考にしていただけて、ちょっぴりウレシイです。
ぜひこれからもよろしくお願いいたします。
投稿: bluebell | 2009年5月 2日 (土) 13時33分
宮崎さん、初めまして。
ミリプットは、滑石(タルク)という成分を含んでおり、これがベビーパウダーそのものなんです。なので、相性も良いみたいです。
私はミリプットがやりやすいと思いますが、他メーカーのパテでも同様に作業できます。
慣れてくると結構楽しくなってきますよ。ぜひお試しください。
これからも、よろしくお願いいたします。
投稿: bluebell | 2009年5月 2日 (土) 13時42分